(第1回)髪の毛を切りに来ていない人がいるサロンの方が面白い。
第1回
髪の毛を切りに来ていない人がいる
サロンの方が面白い。
ルダイ
…では聞いていきたいと思います、よろしくお願いします。
ホッタさん
はい!
ルダイ
昨年よりリロコーヒーのバリスタやロースターへのインタビューを続けてきましたが、社長である堀田さんにお話を聞くのは今回が初めてです。
リロのコーヒーを楽しんでいただいている皆さんの中にも、LiLo Coffee Roastersはヘッドロースターのケイタさんが開業したコーヒー屋だと思っている方は多いと思います。
ホッタさん
うんうん。
ルダイ
LiLo Coffee Roastersは、美容室”LiLo in veve(リロインベべ)”を構える堀田さんが、高校時代の同級生であるケイタさんを誘ってスタートさせた自家焙煎コーヒースタンドです(詳しい経緯はこちら)。LiLo Coffee Roastersを始める前から堀田さんはコーヒーに凝っていて、サロンのお客さんにコーヒーを淹れていたんですよね。当時コーヒー豆を仕入れていた焙煎所に「こんな味わいに焙煎してほしい」とオーダーするほどのこだわりようだったと聞きました。
ホッタさん
そうやね。お客さんだけじゃなくて、僕が外で出会って、もっと話がしたいなと思った人に、お茶に誘うノリで「コーヒー飲みに来てや」と誘ってた。
(2014年4月)美容室LiLo in veveのカウンターでコーヒーを淹れるホッタさん。
ルダイ
おお、髪をカットするしないに関わらずサロンに誘っていたんですね。
ホッタさん
そうそう。美容室って比較的閉鎖的でクローズドな空間やから、お客さんに偏りが出てくるのがあんまり楽しくないなと思って。それよりもいろんな人が出入りしたほうが楽しい。
ルダイ
ほうほう。
ホッタさん
例えば坊主の人は美容室に来る機会がないじゃないですか。それに、行きつけの美容室でしか髪を切らない人も多い。この人ともっと話がしたいと思った時に、なかなか「髪切りに来てくださいよ」とは誘えないよね。
でもコーヒーがあれば、「最近ハマってるコーヒーがあって、ちょっと飲みに来ませんか?」「うちはカウンターだったりテラスがあるから、コーヒーを飲むためだけに来る人もいるんですよ」と誘いやすい。
ルダイ
確かにそうですね。LiLo in veveには葡萄の木やハーブが育つ広いテラスがあって、とても気持ちがいい空間です。それも、気軽にいろんな人が来やすいようにという工夫なんですね。
ホッタさん
僕は圧倒的にサロンワークに時間をさいていたから、朝から晩までサロンにいて、たまに30分間空くくらい。誰かと外でお茶をしながら喋るのは時間的に難しいけど、サロンにコーヒーを飲みに来てもらうことで、自分のお客さんも巻き込みながら一緒に喋ることができる。
この誘い方が出来ていたおかげで出会わなかったはずの人たちに関わりが生まれたり…隣に髪の毛を切りに来ていない人がいる空間の方が面白いんちゃうかなと思って。
ルダイ
すごい発想ですね…。
ホッタさん
ただ遊びに来てもらうだけだと身内ノリになってしまうところを、コーヒーにこだわっていたことで、良い仲介役になってくれた。
ルダイ
多様な面白い人が美容室に来やすくなる口実として、堀田さんが凝っていたコーヒーをうまく利用したんですね。
しかし、その頃はコーヒーはあくまでも趣味で、仕事ではありませんでした。2014年、ケイタさんとともにLiLo Coffee Roastersをスタートさせますが、美容師がスペシャルティコーヒー屋を始めるなんて、突拍子もないことのように聞こえます。どんなきっかけからLiLo Coffee Roastersを始める決断をしたのでしょう?
(2015年8月)LiLo Coffee Roasters 1周年。
ホッタさん
大した決断とか、ないんですよ。「絶対やったろ」という気持ちもない。タイミングです。
ルダイ
タイミング。
ホッタさん
あぁこれは「する」ってことなんやな、みたいな流れ。
入れ替わりの激しい、ビルの1階の物件がまた空いたタイミングで、ビルの管理人さんから何か続く店をしませんかと声かけがあって、他の入居者からも「堀田さんなら出来そう」と勧められてた。その時点で、ケイタに対して「一緒に仕事しようや」って3年間くらい誘っていたこともあり…。
ルダイ
コーヒー屋をしようと決める前からケイタさんを誘っていたんですね!
ホッタさん
そうそう。彼は僕にないものを持ってて、中村圭太が現場に立つとなんでもできると思ってたんですよ。そういういろんな流れにピタッとハマったからかな。コーヒーにもこだわってたし、自家焙煎もしたかったし、ほなやろか〜みたいな(笑)