(第1回)旅 / 出会い

(第2回)バリスタ / リロコーヒーへ

(第3回)少年の目 / 濃いアットホーム 

 


 

第1回
旅 / 出会い 

 



ルダイ

よろしくお願いします。ヨシさんは昨年の10月にリロの仲間になったので、今回が初めてのインタビューになりますね。リロに来る前は、いろんな国でバリスタとして働いていたと聞いています。

 

ヨシ

そう、でも最初からバリスタとして海外に行ったわけではないよ。それまではコーヒーにはほんまに興味を持っていなくて、飲むのも缶コーヒーくらいだった。

 

ルダイ

そうだったんですね!ではどんな動機で外国に行ったんですか?

 

ヨシ

大学の卒業旅行でタイに行った時に、文化や常識の違う国で日本では味わえない何かを感じて、いつか海外を旅したいと思ってたんよ。

それからトヨタで3年働いて辞めた頃に「ワーキングホリデー制度」を知って、これや!とすぐに申し込んでオーストラリアに行った。

 

ルダイ

なるほど。

 

ヨシ

ロードトリップって知ってる?キャンプしながら車で何ヶ月も旅するんやけど、最初オーストラリアに行ったのはロードトリップが目的やったな。

一年目はその旅をしながら農園で働いて、2年目の在留資格を取得するねん。

 

ルダイ

農園!

 

ヨシ

コーヒーじゃなくていちご農園ね。ビザを取るためにいちご農園で働いててん。

ひとつのいちご農園で何ヶ月か働いて、1ヶ月くらい旅しながら別の街の農園に移動して、また働いて…の繰り返し。そんなオーストラリア1年目でコーヒーにすっかりはまってしまって、2年目はバリスタとして働きたいなと思ったんよね。

 

ルダイ

おお、急な展開ですね。どういった経緯でコーヒーにはまったんですか?

 

ヨシ

いちご農園で働く前、ブリスベンの都市部に住んでいた時に、現地で出会ったバックパッカーの仲間とよく会っていて。彼らと行動する日はいつもカフェで待ち合わせてた。だからほぼ毎日、コーヒーを飲んで1日が始まっていたな。

 

ルダイ

ほうほう。

 

ヨシ

僕はコーヒーが全然わからんから、いつも誰かのオーダーを真似してたんやけど、友達でずっとロングブラックを頼む子がいて。一回その子と同じものを頼んでみたらエチオピアの豆で抽出されたものが出てきて、ひと口飲んだ時にびっくりした。紅茶か?コーヒー?なにこの酸味?って(笑)



ルダイ

おお〜。スペシャルティコーヒーとの出会いですね。

 

ヨシ

それから毎日ロングブラックを飲むうちに、コーヒーのフルーティな酸に夢中になっていった。それからラテ、カプチーノと他のドリンクも試して、ちょっとずつ調べたり友達に聞いたりするようになっていったかな。

 

ルダイ

なるほど、ヨシさんが今でも特に好きなエチオピアのコーヒーがきっかけだったんですね。

 

 

ヨシ

もう一つきっかけになったのが、あっちですごく仲良くなった韓国人の友達。と言ってもそのころは英語をまったく喋られへんかったから、ボディランゲージで意思疎通するくらいの仲やったけどね。

ある時、友達とその彼女さんと3人でカフェに行くことになって、その頃僕はちょっとコーヒーに詳しくなってきてたつもりやったから、あのカフェ美味しいし行こうよって提案しててんけど。

 

ルダイ

はい。

 

ヨシ

そしたら友達の彼女が「ここのラテはパサパサしてる」とか色々うんちくを言ってケチつけてきて、なんやねん、と(笑)

賑わってるカフェだし、僕は街で一番のカフェくらいに思っていたから。でも話を聞くうちに、友達の彼女はバリスタという仕事をしてることがわかって、彼女の話しぶりから、バリスタという職業に相当情熱を持ってはるんやと伝わってきた。

 

ルダイ

ほうほう。

 

ヨシ

それまで、「ほんまに温度でコーヒーの味が変わるんか?エスプレッソなんてスイッチを押せば出てくるやろ」と思ってたけど、友達の彼女の話を聞くうちに、バリスタという仕事にリスペクトを持つようになって、コーヒーにも興味がわいてきたんよね。

 

ルダイ

なるほどー!簡単だと思っていたコーヒーの奥深い世界を覗いてしまったんですね。

 

ヨシ

一回その彼女さんの店にも連れていってもらって、やっぱりかっこいいなぁと。

それでもまだ、簡単にできると思っていたから「僕にも働かせてや!」って軽い気持ちでお願いしてみたんよ。「まず英語の勉強して。それからコーヒーの勉強して。以上」とキッパリ断られた(笑)

 

ルダイ

そうなりますよね(笑)

 

ヨシ

そう言われてから英語を勉強せなというスイッチが入ったな。いちご農園では英語喋られへんかったけどノリで友達はできたし、フィーリングでコミュニケーションを取れるんやけど、接客業で働くとなるとちゃんと話せないといけない。

2年目に入る前にフィリピンの語学学校で3ヶ月間かけて英語を習得して、コーヒーの街メルボルンに行った。

 

ルダイ

ヨシさんは緊張しやすい性格ですが、そうは思えないほどどんどん行動していますね。

 

ヨシ

大きな目的が見つかって夢中になってたのかな。最初は旅が目的だったけど、コーヒーの深さと彼女さんの情熱に「この仕事かっこいいな」と感じた。バリスタになりたいという目標ができたからこそ勉強にも力が入ったしガツガツいけた。

メルボルンでは初めにバリスタの学校で1ヶ月ミッチリ勉強しながら学内のコーヒースタンドで働いて経験を積んだ。これだけ勉強したらいけるやろと思ってカフェに履歴書を配るんやけど、ほんまに100枚は配って、全部落とされた。「メルボルンやで?わかってる?経験あんの?」ってね。

 

ルダイ

履歴書は直接配っていたんですか?

ヨシ

ウェブで送るところもあったけど、メルボルンは縁やタイミングを大事にする文化なのと、文章で送るより直接お願いする方が自分もアピールできるから、全部手配りしてた。

 

ルダイ

なるほど。

 

ヨシ

そんな中、一つだけ曖昧な反応のカフェがあったから、ここや!と思って毎日通った(笑)

「あいつまた来た!」「いや働きたいねん!お願いします」 みたいな。

バリスタの経験が2年あることが定番の条件やったんやけど、この店には毎日挨拶して気持ちを伝えるようにして。

 

ルダイ

ほうほう。

 

ヨシ

無給で2週間トライアルとして働かせてもらうことができて、そのあと少しづつ有給で働ける時間が増えて、最終的にフルタイムで働かせてもらえるようになった。

 

ルダイ

ヨシさんの粘り勝ちですね(笑)




 

 

第2回「バリスタ / リロコーヒーへ」へつづきます) 

 

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