第3回
大切なことはスターウォーズが教えてくれた。

 

ルダイ

堀田さんが「楽しい」を常に求めているのは、側で働かせていただいていてひしひしと感じるのですが、現役の美容師としてサロンワークを続けながら会社で働くスタッフ全員が輝く方法を考え環境作りに取り組む、そのエネルギーはどこから湧いてくるのだろう、堀田さんの原動力は何なのだろうかと気になります。

自分のことで精一杯な今の僕には、堀田さんのバイタリティがとても想像できないです。

 

ホッタさん

なんというか、自分が楽しむという感じではないかもしれない。何をやっても、自分がプレイヤーで楽しめるのってほんの一瞬なんですよ。人が楽しんでいる姿を見る、もしくは楽しめる環境を作り出すことが僕の原動力。

 

ルダイ

な、なるほど…?

 

ホッタさん

一人の楽しみは一瞬で終わっちゃうねん。楽しいのはわかってるねんけど、「あー楽しい…。」で、もう終わる(笑)。すぐに、どうやったらもっと楽しくなるか考え始めたり、周りが楽しんでいるかを観察してしまう。周りの人が楽しんでいるのは、見ていて飽きひんよね。人が楽しんでるのを見たら、つられて僕も楽しくなる。人の「楽しい」を奪ってるというか…シェアしてもらってるな。

 

 

 

ルダイ

堀田さんは常に、こうしたら楽しいんじゃないかというアイデアをいくつも持っていて、それが泉のように湧き出しているように見えます。ただその源泉は100%堀田さんの内側から出てくるというよりも、出会った人の特性や面白い一面が堀田さんの中に入ってきた時に化学反応が起きて、新しいワクワクが芽吹くようなイメージでしょうか。

 

ホッタさん

ほぼそれやと思う。かといって、めちゃめちゃ人を選んで仲間にしているかというと、そうではなくて。そのあたりは直感を大事にしてる。言語化も整理もできていないところで、「なんかいいかも、おもろいかも」と肌で感じたことに素直に従っている。

 

ルダイ

堀田さんは以前ヒロナさんのインスタライブでも直感への信頼についてお話されていましたね。「意識によって制御・言語化できているのは脳の活動のほんの一部でしかなくて、直感にこそ、いつもは使えていない脳のはたらきが現れている」とおっしゃっていました。

 

ホッタさん

言ってたかも。

 

ルダイ

直感というと「適当に決めている」という印象も与えかねませんが、そうではないと。

 

ホッタさん

適当ではない。その瞬間に言語化できていないだけであって、今までの経験とインプットしてきたものの蓄積があるから、その上で自分が感覚的にいいと判断したことは間違いないという、自信というか自負はある。

あとは、決めた後の頑張りで直感を間違いないものにしていくしかない(笑)

 

ルダイ

そうですね(笑)

 

 

ホッタさん

繰り返しになるけど、つながりを切れないものにする前提で生きていく方が、楽しい要素が増えるんですよね。もちろんしんどいことや感情が起伏することはあるだろうけれど、その時に「それでも切らない」と決めておくと、その先に絶対光がある。

 

ルダイ

はい。

 

ホッタさん

相手と衝突した時に100%相手に合わせて自分を変えようと無理をするのも違っていて、内省をすることで自分の中の自分に気づいたり、お互い一箇所にスポットライトを当てて相手を見てしまっている状況だったのに気づいて別の角度から光を当て直したり、より全体が見えるような伝え方を模索していくことが大事やと思う。

 

ルダイ

なるほど〜。いい関係を築く上で余計な感情に振り回されないためにも、自分の姿勢をスタートの時点で決めてしまうことは重要なのかもしれません。

 

ホッタさん

最近特に思うのが、関係の中継地点でありたいということ。

 

ルダイ

中継地点、ですか。

 

ホッタさん

自分が得ることができた一瞬の楽しみをそこで終わらせずに、次につなげたい。親から子に。社会から得たものを自分のコミュニティを通してまた社会に。

 

ルダイ

ほうほう。

 

ホッタさん

いろんな人からいろんなものを受け取るけど、それに自分の色を足したり、余計なものを削ぎ落としたりして次に渡していきたいねんな。そういう意味でも、つながりを大事にしたいと思ってる。まぁ、まだ経験が足りないからもっと自分から動いて得たくて、まだまだ受け取りたい側にいるけど(笑)

 

ルダイ

堀田さんは誰よりもはやく深くインプットを続けながら、同時にリロのみんなにいろんなことを渡してくださっていますね。僕はリロに入社して以来、堀田さんからワクワクと、一生大事にしたい価値観、考え方をたくさん受け取っています。

美容室の名前でもあり、現在はリロコーヒー、「餃子とリロと〇〇と」、デザイン事務所などを統括する社名として LiLo in veve(リロインベべ)という言葉があります。LiLo in veve は “Live in Love” のアナグラムなんですよね。

 

(2020年1月)美容室LiLo in veveの3人。

 

ホッタさん

そうそう。Liveが「生活、生きること」で、Loveは「つながり」。

 

ルダイ

「つながりの中で今を生きる」。この姿勢は、リロが手がけるあらゆる事業に共通して響く通奏低音だと思うのですが、この言葉が生まれた原体験があるのでしょうか?

 

ホッタさん

どうやろ、ないような気がするで(笑)

 

ルダイ

あれ、(笑)

 

ホッタさん

自分が実践できていたからこの名前にしたわけではなくて、これから生きていく中で自分が大事にしていこうという気持ちがあったからかな。

22歳くらいの時に自分を分解するタイミングがあって、自分を作り出してるのは自分だと思っていたけどそうではないなと分かった経験があるねん。

 

ルダイ

ほうほう。

 

ホッタさん

僕は、親の教えから学んだことや、そもそも遺伝子によって受け継いだ特性、そして友人や他人との関係によってアイデンティティを培っていて。周りから影響を受けたり、人からつないでもらったことで自分が形成されているということは、逆に考えると、自分が接することで人にいい影響を与えることもできるんだと気づいた。

うん、原体験と言われると難しいけど、スターウォーズくらいかな。

 

ルダイ

スターウォーズですか?(笑)。そんな話でしたっけ。

 

ホッタさん

そうそう。アナキンとルークは一見似た境遇だけど、育った環境や、誰を師とするか、どんな仲間が周りにいるかによって、片方はダースベイダーに、片方はジェダイになるじゃないですか。アイデンティティを形成する上でいろんなことが影響してるわけですよ。フォースは血縁によって決まるけど、アイデンティティは環境によって形成されるということを、スターウォーズが教えてくれたな。

 

ルダイ

なるほど…(笑)

 

(2014年6月)サンフランシスコ、ルーカスフィルムにて。
 

ホッタさん

そして、スターウォーズの世界には多様性がある。枠が取れているよね。

僕が子どもの時って、「地球人 vs 宇宙人」の構図ばかりだった。遭遇なのか、侵略なのか、戦争なのか。でもスターウォーズに関しては、何かわからんいろんな生き物がヒエラルキーなく描かれてるじゃないですか。あれが面白いなと思った。人が強いわけでもなく、よく分からない特徴が全く違う生き物と一緒にチームを形成していたり。

 

ルダイ

僕はつい、自分と似たような考えや同じ志向の人と一緒にいる方が心地いいなと感じてしまうのですが、堀田さんにとっては全然違う人たちが混ざっている方が楽しいんですね。

多様性を面白いと感じられることは、人生を楽しく生きるためにもとても大事だと思います。どう感じようが実際に多様な考え、多様な特徴を持った人がいて、いろんな生き物と一緒に生きていますもんね。

 

ホッタさん

そうやな。違いを認識した上でおもしろがった方が楽しい。予測不可能、それが面白いよね。

 

 

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