(聞き手:田川流大)
リロ珈琲喫茶には日夜、様々なお客様がいらっしゃいます。
その中には悩みを抱えた人もちらほら。
彼らの相談に親身に耳を傾け、力強い言葉と共に送り出すのは喫茶の店長、山本紘奈さん。
綺麗なピンクヘアがトレードマークのヒロナさんは、
面倒見のいい喫茶のおかん的な存在です。
対象を独特の感性で見つめ、一般的には「欠点」とされるあらゆる物事に惜しみない愛情を注ぐヒロナさんは、
リロ珈琲喫茶に懐の深い世界観を生み出す核となっています。
壁に直面するたびに厚みを増す表現と、ずっと変わらない根っこの感性。
「やりたいことだらけだからね」
感情のこもった言葉を紡ぐその姿からは、コーヒーへの愛と
喫茶をもっと面白くしたいというエネルギーが溢れ出ていました。
第2回
喫茶奮闘記
ルダイ
ヒロナさんはリロ珈琲喫茶の店づくりにも関わったんですか?
ヒロナ
うん!6月1日に入社して6月6日にオープンしたんだけど(笑)
ルダイ
うわぁー!(笑)
ヒロナ
6日間はセキネと怒涛のメニュー考え、いろいろ揃えみたいなね(笑)
ルダイ
どこかで目にしたんですが、最初は手書きのメニューだったんですか?
ヒロナ
そう!あれ、当日の朝に私が書いた。
ルダイ
あははは。何それ(笑)
やりながら増やしていった形ですか?
ヒロナ
うんうん。それは堀田さんの意図だったし、それはすごくいいなと思う。
ルダイ
それは馴染んでいくため、ですか?
ヒロナ
最近すごくそういうことを思うんだけど、決めちゃうとそこから動きづらくなっちゃうから、もう20点からスタートするのがすごく楽だなと思っていて。もう変化するしかないじゃん?
ルダイ
はい、はい。
ヒロナ
上にしか行かないもんね、20点スタートだから。トライアンドエラーを細かく常にできるから、進化しやすい。ジャンッと決めちゃうと、そこから動きづらくなって、変化することに勇気が要る事になるから…。あの始め方はよかったなあってすごい思う。
ルダイ
へぇ〜。喫茶は今度で3周年ですか?
ヒロナ
3年です。
ルダイ
もう、喫茶の店づくりは大体固まってきましたか?まだやりたいことはありますか?
以前サノさんと「カルチャーの話ができる場所になればいいね」とお話しされていたかと思うのですが、そういうことは今も考えているんでしょうか。
ヒロナ
ずっと思ってる。やっぱり堀田さんの作っているお店だからか、喫茶にはインスピレーションを求めて来られるお客さんが多いと思うんだよね。面白い考えを持っている人たちが「リロこんな面白いことやってるんだ」と言うのを楽しみに来ている気がして。私もそうだったからさ。
ルダイ
はい。
ヒロナ
それをLCRもやってるけど、LCRは「陽」で喫茶が「陰」な気もするから(笑)
「陽」な人たちの輪に簡単には入れない人がいっぱいいるから、だからこそ喫茶を作って入りやすい場をね。性格の話だけではなくて誰にでも「陽」な気分の時も「陰」な気分の日もある、だから状態に合わせて店を選べるようにLCRと喫茶は近い距離にあるんだと思う。すごい考えられてるよねぇ〜。
ルダイ
(笑)
ヒロナ
すごいよねぇ!(笑) そして私も気質は「陰」だから。
ルダイ
もともと「陰」なんですか?
ヒロナ
「陰」です。絶対「陰」です(笑)
ルダイ
「陰」な気質とも繋がるかもしれませんが、ヒロナさんは、特定の対象を「偏愛」しているような気がしていて…。「いろいろなものを満遍なく」ではなくて、「これのここのこういった細部がいいんです〜〜」のような、普通に見ているのとは違った角度からの熱量を持っている気がします。コーヒーに対しても人に対しても。
ヒロナ
うんうん。
ルダイ
コーヒーに関して言うと、ヒロナさんは最近「エイジング」の魅力についてよく語っていますよね。スペシャルティコーヒーの世界にいると、エイジングが良いなんていう発想に簡単には至らないと思うのですが、どうしてそのようなニッチなポイントを好きになるんでしょう。
ヒロナ
それは…分からない。
ルダイ
最初からその角度から見ているんですか?
(第3回「ずっとあまのじゃく」へつづきます)