(第1回)がむしゃらに経験していた

(第2回)いつもケイタさんが気づかせてくれる。

(第3回)想像することと伝えること

(第4回)観察

(第5回)わからないことが楽しい

(最終回)リロのために。

 


 

 

 

第3回
想像することと伝えること

 

ルダイ

接客に関してお話しを聞きましたが、ナミさんがお客様と関わる場として、LCR店頭の他にオンラインショップがあります。

リロのオンラインショップでは、ご注文のお豆に手書きのメッセージカードを添えているんですよね。

ナミさんは字も絵も上手だということもあり、これまでお客様に対してメッセージを書くことが多かったと思います。

 

ナミ

そうね。

 

ルダイ

ナミさんはただ定型文を書くのではなく、一人一人を想像しながらメッセージを書かれていて、文字ひとつにまで意識が向いています。

メッセージカードをはじめとして、様々な場面で「伝える」ことについて僕たちに教えてくださいますよね。ナミさんが大事にしていることをもう一度聞かせていただけますか?

 

ナミ

メッセージで大事にしてるのは、お客さんがそれをみてくれた時に癒されたり、笑顔になったり。力になったり。というちょっと心がホッとする言葉を書くのは気にかけてる。

 

ルダイ

ほうほう。

 

ナミ

自分がどれだけ疲れていても、何十人に書いていても、気持ちを込めないと。私は何十枚も書いてるけど、その一枚を手にするのは一人のお客様。その人にはこの一枚しか届かないと思うと、軽い気持ちでできないなと思って。

 

ルダイ

なるほど〜。特に定期購入のご注文が一気に入る月末はメッセージを書くだけでも大変な仕事ですが、その一枚一枚に100%気持ちを込める、と。

 

ナミ

やっぱり書いた後に見直すんやけど…。書いてる途中は気づかなくても「え、全然気持ちこもってないな」と思って、勿体ないけど捨てたことは何回もある。

 

ルダイ

おお!

 

ナミ

ダメダメと思って。ここが一番心を掴めるところだから。そりゃケイタさんの焙煎が素晴らしく美味しいのはもちろんだけど、もっと美味しく感じてもらえる。お客様にリロの印象をつけるためには「手書きの手紙」が一番だと思ってた。ここは手抜きたくない、と。

 

ルダイ

お店のような接客のコミュニケーションが取れないぶん、手書きのメッセージで少しでも「美味しい」と感じていただけるようにしているんですね。

 

ナミ

大人の人が手書きのものをもらうことってなかなかないよなと思って。ちょっと好きなコーヒー屋でコーヒー頼んだ時に手書きの手紙があったら、マイナスになる人は絶対いないなと思ってる。

 

ルダイ

そうですね、マイナスはないかも。

 

ナミ

私は「マイナスがないこと」をやりたいの、いつも。いいとか、普通とかはあんまり考えていなくて。マイナスにならないことならやりたい。

メッセージも、読んだ人をプラスの気持ちにしてあげられたらめちゃめちゃ良いけれど、絶対嬉しい気持ちになってもらわないといけない、ということじゃないの。

 

ルダイ

読んでゴミ箱に「ぽいっ」で終わることもあるでしょうが、それもマイナスではない。

 

ナミ

そうそうそう。それを見て何にも思わない人がいてももちろん全然いいし、でも絶対何か受け取ってくれる人はいると自信があった。メッセージカードをそういうものにしたいと思ってた。そういう存在になれるような言葉を書きたい。

 

ルダイ

なるほどなぁ…。

 

ナミ

前買ってくれた豆の履歴を見てこれがおすすめかなぁとか、天気をみて「最近暑くなってきましたね」とか。手紙にしては当たり前かもしれないけど、大人になってそういうことを言われる機会はあんまりないなと思っていて。

 

ルダイ

たしかに。

 

ナミ

そういう当たり前の声かけをわざとしてた。ふとした時にパッと思い出してもらって、本当に些細な力になれればな、と思って書いてるなぁ。

 

ルダイ

なみさんには、相手の気持ちや感情を想像して可能ならばプラスにしたいという想いが強くありますね。スタッフに対しても、お客さんに対しても。

それは多分、なみさん自身が感情の豊かに動く人だからかなと思っていて…。だからこそ相手がどういう状態かということにアンテナが敏感で、そこに伝えるやり方が加わることで「一人ひとりに伝わるメッセージ」になるのかなと。

 

ナミ

おお、そうなんかな(笑)。

 

ルダイ

相手の気持ちを想像することは日常的にしているんですか?それともこれまでの経験から学んだことなのでしょうか。

 

ナミ

結構自然にしてるのよねぇ。私は沖縄が大好きなんだけど、砂浜で鳥が歩いてるだけでかわいいのね。それで、鳥、どういう気持ちなんだろうとか考えるもん(笑)。

 

ルダイ

人ですらないじゃないですか(笑)。前も「蚊と喋れたらなぁ、蚊の事情も聞いて、でもこっちには来ないでとか話し合えるのになぁ」なんておっしゃってましたもんね。

 

ナミ

そうそう…。人間もあるよ。信号待ちの時に近くに誰かが立っていたら、その人の気持ちになったり。

あとは歩いていて自転車に乗った人とすれ違った時にその人の気持ちになったりする。「すごい風を感じてどこかに行こうとしてるんだろな」とか。

はしゃいでる人を見て「あの人めちゃ楽しいんだな。周りも見えてないくらい楽しいんだろな」とか。

 

ルダイ

やっぱり人の気持ちを想像する、というか、なりきってますね。

 

ナミ

うん、想像する。でもそれはやろうとしてやってるわけじゃなくて、昔から無意識にやってたかも。「あの人今疲れてんのかな〜、好きな人とLINEしてんのかなぁ」みたいに。

その気持ちが合ってても間違っててもマイナスにはならないから、別にいいんよ。ただ想像してる。

それで楽しいとかじゃないんよ。自然に考えちゃう。

 

ルダイ

へぇ〜、僕はそういうことはあまり考えないかもしれません。

 

ナミ

あと「想像」の話で言うと、ちょっと話変わるんだけど、自分にマイナスのことが起こった時に何かの暗示じゃないかと思っちゃう。旅行先でコケたら、ちょっと気をつけなあかんのかなぁと自分を見つめ直したりする。

 

ルダイ

それも僕には無い感覚ですね。自分に起きたことを未来で起こることと繋げているんですね。

 

ナミ

不吉なことだけじゃなくて、めっちゃ楽しくてはしゃいでるときも、何か考える。

「この前めっちゃ頑張ったから今はご褒美タイムかな。じゃあ今は楽しもう。どうせまた試練が来るだろうし」って。

試練が来た時は乗り越えた後のことを考える。今頑張ったら絶対また良いことがあるって。

 

ルダイ

ほう〜。ナミさんはどうやら周囲の人に対しても自分に対しても、想像して「ストーリー」を作ってますよね。

 

ナミ

ああそうなんかな。

 

ルダイ

自然に繋げているんですね。ストーリーが何かというと、感情が動くものだと思っていて。ナミさんは感覚、感情が動くものが好きなんだろうなと以前から感じていたので、今のお話はすごくナミさんらしい部分が聞けたなと思います。

 

ナミ

なるほど〜。

 

 

 

第4回「観察」 へつづきます)

 

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