第2回
ポイントを捉え、伝える。
ルダイ
キョウスケさんは本や論文のようなテキストでインプットするのではなく、とことん人に聞くんですね。
キョウスケ
勉強は苦手やから。とにかく聞いて試して、聞いて試して。
ルダイ
「学習」というより「習得」という言葉がしっくりくる成長の仕方ですね。
キョウスケ
ただ、インスタライブを始めてからは論文を読むようになったね。
ルダイ
ほう!
キョウスケ
実験をやる中で自分の答えは出る。でもそれは僕の結論でしかなくて、その答え合わせとして他の論文を見るようになった。自分の答えが正しいか分からないからね。
ルダイ
リロのスタッフ同士で検証して仮説を話すのと、外に発信するのとでは全く意味合いが違いますもんね。
キョウスケ
そうそう、怖い。実験と自分の仮説を、自信を持ってライブでお話しできるようにするため文献やブログを読み始めた。
ルダイ
それを1年以上やってるわけですもんね。すごい数になっていますよね。
キョウスケ
うん。今は週に2回やけど、最初は毎日やってたからね(笑)。
ルダイ
インスタライブはリロの外に向けたアウトプットの機会でもあったということですよね。
それまでも実験自体はしていたと思いますが、そのような「発表の場」を持ったことで、何か新しい影響はありましたか?
キョウスケ
そうやなぁ。「ポイント」ってあるやん?淹れ方だったり、お湯の温度だったり。
ルダイ
はい。
キョウスケ
僕は「ポイント」を身につけるのは元々得意だったんだけど、そのポイントを捉えて伝える能力がさらに鍛えられてきたかな。
ルダイ
「コツ」みたいなことでしょうか。
キョウスケ
そうだね。人に教える時は「ここをは大切だよ」というポイントを伝えるのが大事で。
元々サッカーのコーチをやっていたんだけど、それも同じ話。
僕自身はプロみたいにサッカーがうまいわけではないけど、ポイントは全部教えられる。
ルダイ
うんうん。抜き出して伝えるのが得意なんですね。
キョウスケ
そう。多分得意やと思う。
ルダイ
たしかに。インスタライブでも毎回テーマをひとつに絞っていますね。「挽き目」だったり「フィルター」だったり。
キョウスケ
ひとつのテーマに対してのポイントを、どう伝えていくか。
ライブ中に実験を見てくれてる人たちの前でやりながら、「今こうなったよね、だからこうなんだよ!」みたいな。
ルダイ
そこに論文の情報で肉付けをして、ですね。
キョウスケ
だから、ライブを通してそういうところが強化されたと思う。ポイントの見つけ方やアウトプットの仕方、共通点の見つけ方。
ルダイ
なるほど。
インスタライブの視聴者さんはコーヒーを仕事にしていない方が多いと思いますが、その中でもコーヒーが大好きですごく詳しい方から、飲むのは好きだけど淹れ方がよく分からないという方まで様々だと思います。それこそ、コーヒーの楽しみ方は多様なので。
いろんな方々にライブを通してコーヒーの面白さを伝える上で、意識していることはありますか?
キョウスケ
そのために、週に2回の内容を「実験ライブ」と「抽出ライブ」に分けた。
ルダイ
ほう。
キョウスケ
「抽出ライブ」は抽出の方法を教えるライブ。「抽出器具がなくても、こうすればドリップバッグって美味しく淹れられるんだよ」というところから始まって。「じゃあ次はこの抽出器具を使ってみよう」「ここをこう変えれば自分の好みを見つけられるかもしれないね」みたいな。
ルダイ
ほうほうほう。
キョウスケ
「実験ライブ」の扱う内容は、コーヒーがとことん好きで追求したい人向けにしてるんよね。「じゃあ水を変えてみたらどうだろう」とか。科学的な内容が多いかな。
ルダイ
なるほど〜。段階を分けているんですね。
キョウスケ
そう。同じことを伝える場合でも言葉を変えたりしていて、例えば「蒸らしがなぜ大事か」を伝える時に「お豆の扉をバーンと開けるため」と言ったり「ハニカム構造の中に空洞があるから…」と言ったり。
ルダイ
なるほど〜!