第1回
0からのバリスタ
ルダイ
まずは、僕が驚いたキョウスケさんの「ギャップ」の話から始めようと思うのですが…。
キョウスケ
お願いします!
ルダイ
リロに入社する前の僕にとっては、「キョウスケさん=インスタライブの人」というイメージでした。
コロナが始まった頃、リロのインスタライブが始まった当初は毎日(!)ケイタさんとキョウスケさんが30分ずつインスタライブをしていて、キョウスケさんはいつでも元気いっぱいに抽出の方法を紹介したり、抽出の実験を行っていました。いつの間にか「プリンス」という呼び名までついて(笑)。
その熱量が凄まじくて、いつもこれくらい元気な人なのかなと想像していたんです。
キョウスケ
うんうん。
ルダイ
その印象を持ってリロ珈琲喫茶にお茶しに行ったことがあって、お会計時少しキョウスケさんとお話したんですが、どうも様子がおかしいぞと。
キョウスケ
誰だこの人は!と。
ルダイ
声色から全く違っていて、インスタライブの時のハイテンションなトークはなく、なんというかすごく落ち着いていて。
キョウスケ
はい。
ルダイ
一人「あれー?」と思いながら店を出た記憶があります。それくらいキョウスケさんには「プリンス」のイメージが強くありました。
キョウスケ
そうやね〜。
ルダイ
インスタライブを始めたのは昨年、2020年の春だったかと思いますが、その頃キョウスケさんの状況はどうだったんですか?
キョウスケ
その頃の僕は、入社して半年ちょっとかな。その頃から「プリンス」です。
ルダイ
おお、入社して割と日が浅い時期だったんですね!キョウスケさんはリロに来る前はパティシエとして働かれていて、リロ歴=バリスタ歴ですよね。
初めは覚えることが山ほどあったと思うのですが、どうやってキョウスケさんの抽出理論を作り上げていかれたんですか?
キョウスケ
リロに入りたての研修期間は業務を覚えるのに必死で。コーヒーや抽出理論の勉強はしてる「つもり」になっていたんだけど、研修期間が終わって社長と面談した時に背中を押されて、というか尻を叩かれて。
ルダイ
うんうん。
キョウスケ
「もっと覚えた方がいい。もっと腹をすかせた方がいい」って。そこでひとつスイッチが切り替わって、ハングリーに学び始めるんやけど。
ルダイ
ほうほう。
キョウスケ
そんな中、参加したカッピングの大会で運よく上に進めて、東京で開催される本戦に行くことになった。
ルダイ
おお!
キョウスケ
本戦ではボコボコにされたけど、そこでの経験がすごく刺激的で。
ルダイ
バリスタになって日が浅い状況で大会に参加することは、怖くなかったですか?
キョウスケ
怖かった…いや怖くはなかったな。だって、その会場で誰よりも経験が浅いのは明らかだったから、「誰にでも聞ける」と思って。
ルダイ
たしかに!
キョウスケ
「自分には何もないから、みんな何かくれ!」と思って、全員に話しかけた。
ルダイ
ええー!コーヒーのことを質問するということですか?
キョウスケ
トップレベルの人たちが何をしてるのか、どうやって味覚を鍛えてるのか、とかね。
ルダイ
なるほど。
キョウスケ
大会に向けて練習はやってたけど、トップの人たちの話を聞いたら「あ、自分やってないわ」と思った。それくらいみんな本気で大会に向けて試行錯誤をしていて。
折角東京まで行かせてもらってるから、彼らがやっていることをきちんと聞いて大阪に持ち帰ろうと。
ルダイ
吸収モードですね。
キョウスケ
リロに帰ってきてからも、大会で得たものや自分の疑問を実験するようになったんよね。
ルダイ
なるほどー。その頃から研究熱心なんですね。
キョウスケ
やってみて「こうだ」と出した結論をヒロナさんやアオイちゃん(元スタッフ)にひたすら聞いてみて、また実験して。リロのスタッフの抽出に疑問を持ったら、それも全部聞いた。
「なんでそれをするの」「何が美味しいの」「何がまずいの」って。
ルダイ
そういった類の疑問と答えは、無限にありますよね。
キョウスケ
無限にあるけど、僕のコーヒーを美味しいと思ってもらえるように、とにかく「なんで?」と思ったら人に聞いてた。
ルダイ
キョウスケさんは本や論文のようなテキストでインプットするのではなく、とことん人に聞くんですね。
キョウスケ
勉強は苦手やから。とにかく聞いて試して、聞いて試して。
ルダイ
「学習」というより「習得」という言葉がしっくりくる成長の仕方ですね。
キョウスケ
ただ、インスタライブを始めてからは論文を読むようになったね。
ルダイ
ほう!