(聞き手:田川流大)

一年間のLCR勤務を経て、リロ珈琲喫茶という新天地で歩み始めたタクミくん。

試行錯誤を楽しむその性質によって築かれた膨大な知識と抽出技術は、

そのまま引き出しの多さとなり 常にお客様の期待以上のパフォーマンスを発揮します。

 

その凄まじい進化の速さは、タクミくんのずば抜けた行動力をしてこそ成し得ることです。

今後 喫茶のヒロナさんやサノさんに多くを学ぶことで今まで以上に人間的な幅を広げ、

唯一無二の魅力をぐんぐん伸ばしていくことでしょう。


 

第1回)ニュージーランドにて。

(第2回)話したい。伝えたい。

(第3回)積極的な人見知り

(第4回)エスプレッソはわかりやすい

(第5回)一年目の悩み

(最終回)日々、学んで気づいている。

 


 

 

 

 

第4回
エスプレッソはわかりやすい

 

ルダイ

タクミくんのコーヒーとの出会いは”Coffee & Chat” だったということがわかりました。

 

タクミ

はい(笑)

 

ルダイ

では、そこからバリスタになりたいと思うほどにコーヒーにのめり込んでいった経緯を教えてください!

 

タクミ

Pour & Twistという小さいカフェがあってね。いろんなロースターから買ってきたコーヒー豆を淹れるよ〜みたいなお店なんだけど。

 

ルダイ

はい。

 

タクミ

そこに、最初はコーヒー自体というよりも「喋りたい」という目的で通い始めた。

 

ルダイ

うんうん。

 

タクミ

ラインナップから適当に豆を選んで、淹れてもらったコーヒーを飲みながらオーナーさんと喋ってたんだよね。

 

ルダイ

はい。

 

タクミ

何回か目に行った時に、「グアテマラのゲシャを飲まないか」って言われて、飲んでみた一杯がめちゃくちゃ美味しくて。感動したその日のうちにコーヒー器具を全部買い揃えた。

 

 

ルダイ

ひゃー!行動力がすごい。

 

タクミ

買って帰って、ワクワクしながら淹れて「美味しくねぇ〜」って。

 

ルダイ

おお。

 

タクミ

自分でやってみて美味しくなかったところから、ちょっとずつコーヒーが気になってきて。その後コーヒーのワークショップに行くようになって、エスプレッソやラテアートをメインで教えてもらいながらちょっとずつハマっていった感じだね。

 

ルダイ

なるほど〜。タクミくんは好奇心と行動力がすごいですね。

最初コーヒーの器具を一気に揃えたのは、遊びのつもりで買ったんですか?

 

タクミ

うーん、あんまり何も考えてなかったかも(笑)

ただ「淹れたい、自分でもやってみたい」というだけかなあ。

 

ルダイ

僕がリロに入る前、タクミくんは「エスプレッソを極めている人」というイメージがあったのですが、コーヒーの中ではエスプレッソに一番思い入れがあるんですか?

 

タクミ

最近ずっと考えてたんだけど、僕は昔から「バール」が好きなんだよね。

 

ルダイ

バール!

 

タクミ

高校のとき一番最初に行ったのがスペインバルだったんだけど、そこは今でも通うくらい好き。それに、イタリアのバールでは必ずエスプレッソやカクテルを提供していて、僕が好きなのはエスプレッソ単体というよりも、エスプレッソを含めたバールという空間なのかな、と。

 

ルダイ

ほぉーなるほど。

 

タクミ

どのバールも少しこじんまりした店のスケール感は一定なんだよね。この規模感も含めて、エスプレッソが好きなのかなぁと思う。

 

ルダイ

僕がリロに入ったタイミングでは、エスプレッソ自体にすごく熱を持っている印象がありました。

 

タクミ

エスプレッソ自体も、味の面でずっと好きだった。話が前後するんだけど、NZで働いていたFrank’sっていうお店でエスプレッソの味の調整を毎日やっていて、オーナーに味を見てもらいながら色々試すのが楽しかった。

 

ルダイ

なるほど。

 

タクミ

エスプレッソは一番わかりやすいから好きなのかなぁ。

 

ルダイ

わかりやすい?

 

タクミ

濃くてインパクトがあって。僕、結構バカ舌なんだと思う(笑)

 

ルダイ

えぇ(笑)

 

タクミ

ドカーンってくるのが好きなんだよね。ただ、その中でも尖ってくるところは欲しくなくて。

エスプレッソって苦いイメージがあると思うんだけど、バランスの取れた丸みのあるエスプレッソが理想なんだよね。

それこそ、流大くんに出して感動してくれたメキシコみたいな一杯が一番じゃないかなぁ。(僕、流大はリロに客として通っていた頃、タクミくんにエスプレッソを出してもらったことがありました。浅煎り豆のエスプレッソにありがちな舌を刺すような酸味に苦手意識を持っていたのですが、タクミくんが落としてくれたメキシコのそれは、驚くほど甘く華やかで、口に残り続ける香りにとても驚きました。「綺麗な酸」とはこのことか、と感銘を受けたのを覚えています)

 

ルダイ

ぬぁ〜あれは…。驚くほど美味しかったです。繊細で明るくて甘くて…。

 

タクミ

ああいうまぁるいエスプレッソが理想で、それを求めて行く上でリロのいろんな豆を使ってエスプレッソ作れるのがめっちゃ楽しくて(笑)

 

ルダイ

うんうん(笑)

 

タクミ

だから、味としてスペシャルティのエスプレッソが好きで、文化としてバールが好きなのかなぁ。この二つは別の種類の好きだけど、繋がっている。

 

 

第5回「一年目の悩み」へつづきます)

 

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