第1回
役割 / 空気
ルダイ
今日はよろしくお願いします!
ナミさんは、今年に入りLiLo Coffee Roastersでの働き方に変化があったみたいですね。
ナミ
そうなの。今年の2月からLiLo Coffee Roastersのキョウスケ、ヨシくん、私の3人で枠割分担をして、私は「空気をつくる」ことに取り組むようになった。
ルダイ
「空気をつくる」ですか。具体的にはどういう意味でしょう?
ナミ
LiLo Coffee Roastersをどういう空間にしたいのか考えた時に、私はコーヒーマニアのお客さんだけではなくて、「コーヒーをただ飲んでのんびりしたい、ホッと一息つきたい、喋りたい」そんなお客さんがふと来たくなることも大事だなと思ってる。だからこそ美味しいコーヒーを提供するのと同じくらいコミュニケーションが大切で、私が積極的にお客さんとお話するポジションになったんだよね。
ルダイ
なるほど。
ナミ
もちろんコーヒーは大好きで追求しているけど、コーヒー自体についてより詳しく、面白く伝えるのはヨシくんやキョウスケが向いてる。そこは二人に任せて、私は空気づくりに責任を持つようになったの。
ルダイ
LiLo Coffee Roastersは、2014年の創業以来ずっと「美味しいコーヒーを介して多様な人がつながる」ことをテーマに走り続けてきました。最高品質のコーヒーを提供することと、いろんな人が集まりたくなる空間づくり。その両方を、長い間ケイタさんが担ってきたと思います。
ナミ
うんうん。
ルダイ
2020年に新しい焙煎所のLiLo Coffee Factoryが完成し、ケイタさんは焙煎業務に集中するためにもLiLo Coffee Roastersに立つことが格段に減りました。そんな中、今のLiLo Coffee Roastersの楽しい雰囲気づくりや、お客さんとのコミュニケーションをナミさんが担っていくということでしょうか?
ナミ
そう、それはまさに社長が言ってたこと。「今までは美味しいコーヒーも楽しい雰囲気も、全てをマルチタスクで圭太がやっていた」ってね。もちろん他のスタッフもいたけれど。なかなか一人で全部の責任を負うのは難しいことで、何年間もやってのけた圭太さんはやっぱりすごいなと思う。
圭太さんの役割を一人で受け継ぐのは難しくても、「ナミとキョウスケ、ヨシで役割分担したらいいやん」と社長が今の形を提案してくださったんよ。
ルダイ
なるほど。実際に役割分担を導入してみて、感触はいかがですか?
ナミ
最近は自分の中で役割がすごく定着してきた。私は接客が好きで、お客さんのことを考えるのが一番楽しい。取り組む中で課題もたくさん見えてきたな。
ルダイ
リロの前の職場から含めると、長い間飲食業界で接客をしてきたと思うのですが、いまでも課題が見つかるんですね!
ナミ
うん。相手との接し方は人の数だけあるし、そこに間違いはあっても正解はないから、毎回気づきが出てくる。あえて言うなら、目の前のお客さんが喜んでくれることが一つの正解かな。お客さんの悩みを聞く場面があった時、ネタにして笑いたい人も、アドバイスが欲しい人も、ただただ話を聞いてほしい人もいる。どう反応したらいいのか、どんな言葉を選ぶべきかは瞬時に考えないといけなくて、大変で難しいけどそれが楽しいんよな。
ルダイ
人の数だけ正解の接し方が変わる、確かにそうですね。
ナミ
自分のキャパシティはまだまだ狭いからもっと引き出しを増やしたい気持ちが強くて、最近はバーによく行くようになったの。
ルダイ
バーですか。
ナミ
リロによく来てくれるバーテンダーのお客さんがいるんだけど、その人のお店に行って「話の区切り方」「間の取り方」「話の展開」を意識的に見るようにしてる。
ルダイ
ほうほう、お客さんのお店なんですね!
ナミ
バーに限った話ではなくて、カフェ、ご飯やさん…。どの場所でもいろんな会話が起きていて、意識して聞いていると自分の仕事に活かせる収穫が沢山あるんよね。「こういう場面よくあるな〜、なるほど、この時はこういう返し方もあるのか!」みたいな。
ルダイ
なるほど、出かけた先のすべてが学びの場になっていますね。
ナミ
今、すごくワクワクしてる。今のポジションになってから、お客さんを楽しませるのがさらに好きになった。同時に、自分がまだまだだということを日々再確認していて、どんどん学んで取り入れていかないとなと思う。
ルダイ
なるほど。去年インタビューした時は、接客は圭太さんから多くを学んでいるとおっしゃっていたんですが、今はお店の外でさまざまなコミュニケーションの方法を学んでるんですね。
ナミ
そうだね、それに圭太さんとなかなか一緒に働けなくなったしね。
自然にお客さんの店に行って教えてもらうようになったかなぁ。私はもうリロで5年目になったんだけど、ずっと通ってくれるお客さんは、身内かと思うくらい私のことも知ってくれていて。親身に答えてくれるお客さんたちに全力で頼ってる。お客さんというか、友達というとおこがましいけど、お兄ちゃんお姉ちゃんみたいな関係性。ご飯に誘い合ったりもするお客さんたちからは、一緒にいて学ぶことが本当に多い。
ルダイ
何年もLiLo Coffee Roastersに立ち続けてお客さんとの信頼関係を築いてきたナミさんだからこそ、たくさんの方がかわいがって、手を差し伸べてくださるんだと思います。
(第2回「いってらっしゃい / サウナ」へつづきます)