(第1回)バリスタ / 大会

(第2回)ワークショップ / 伝える

(第3回)リロとして 新しい武器 

 


  

第3回
リロとして / 新しい武器 

 



キョウスケ

今回のワークショップの予約フォームの文章を作って堀田さんに見てもらった時に「もうちょっとリロとして話の内容を考えて」って言われた。その言葉からたくさん考えたし、悩んだ。

 

ルダイ

おお、「リロとして」。

 

キョウスケ

僕はまだリロにいるだけで、リロになれていないということなんだろうな。何年もリロで働いてきたけど、改めてリロコーヒーはどんなコーヒー屋だったっけ?何を伝えようとしていたっけ?ということを改めてケイタさんやセキネさんに聞いて考えて、もっとリロを自分らしくうまく着こなすために見つめ直すことができた。「リロ、どんな形だったっけ。こっちが前か。こんな色してたんや!」みたいな(笑)

 

ルダイ

周年のワークショップが、リロコーヒーというコーヒー屋とそこで働く自分自身について考え直すきっかけになったんですね。すごくいいですね。

 

キョウスケ

まだ深く考えられていなかったから言葉にできてないんやろうな。

 

 

ルダイ

3店舗とオンラインショップを持つリロコーヒーは、それぞれ違う角度からコーヒーの楽しみ方を提案しています。その中でも一号店のLiLo Coffee Roastersは、リロコーヒーがやりたいことの原点と言ってもいいと思っていて。

 

キョウスケ

Life is Short。コーヒーと仲間と、楽しい人生を。

 

ルダイ

その上でワークショップは、より近い距離感で、生活にコーヒーがあることの楽しさを伝えられるチャンスです。参加者の方々の心に「楽しい!」の芽を深く植え付けるためには、キョウスケさん個人ではなく、リロコーヒーという大きなチームを背負うことが大事なんですね。リロコーヒーが8年間発信し続けてきた重なりの上にキョウスケさんの温度を乗せることで、「リロのキョウスケさん」にしか伝えられない楽しさがお客さんに届くと思います。

 

キョウスケ

僕とリロがどれだけ重なっているかが重要なんやな。

話は変わるけど、この前経営者の兄に連れられて参加したデザイン事務所のパーティーで、周りの人たちのコミュニケーションスキルに圧倒されたんよね。その時に、コーヒー業界の人ではない初対面の相手に自分や自分の会社を伝えることの難しさを感じた。

 

ルダイ

ほうほう。

 

キョウスケ

今の僕はもっと外からの信頼を得なければいけないから、大会に出るだけではなくて自分をプレゼンする力もつけていきたいと思ってる。そのためにもリロのキョウスケとして伝えられるのが大事なのかもしれないね。

 

ルダイ

そうですね、今日キョウスケさんとお話しして、より遠くに伝えるためにもより強く伝えるためにも、まずリロの内側に入っていくことが必要なんだと気づくことができました。

やっぱりリロを生み出した堀田さんや、堀田さんとともにリロコーヒーを走らせてきたケイタさんの言葉には「伝わる力」があります。キョウスケさんはワークショップを通して、リロのコアな部分を伝える役割を任されたのではないでしょうか。

 

キョウスケ

だからこそ社長に言われたように、今までよりも深く「リロとして」考える必要があるんやね。

 


 

ルダイ

昨年10月、新バリスタのヨシさんが加わって、キョウスケさん、ナミさん、ヨシさんで新体制のLiLo Coffee Roastersが始まりましたね。

 

キョウスケ

うんうん。コーヒーを美味しく淹れるだけではなくお客さんとの接しかた、空間作り含めて、僕たちは3人ともバリスタとしてバランスがすごくいい。だからこそ、バリスタとして基本はしっかりさせた上で、それぞれが得意な武器を身につけようよという課題を持ってきたんよね。

 

ルダイ

武器、ですか!

 

 

キョウスケ

冒険もののRPGで例えると、剣、槍、弓矢、魔法だったり、僕たちそれぞれが違う部分で能力を伸ばしていけると、ピンポイントで相性が合うお客さんが来てくれるからね。「僕はあの人に話を聞きたい」「この話はあの人と話したい」というふうに。

 

ルダイ

なるほど。

 

キョウスケ

身につける得意分野を変えて頼り合うことで、もっと大きなボスを倒せるようになった。チーム力が上がったと思う。

これまでケイタさんを知らないお客さんはほとんどいなかったけど、最近は僕たち3人の誰か、もしくはみんなを目当てに来てくれる新しい常連さんも増えてきた。難しい部分もあるけど、この役割分担はいいことが多いな。

 

ルダイ

他にも、幅広い方にコーヒーを楽しんでいただくためにLiLo Coffee Roastersの3人でアイデアを出し実現させていますね。例えば、今までは高価格帯のコーヒー豆は浅煎りしかありませんでした。先月、創業以来初めてリミテッドラインの深煎り珈琲(ルワンダ バランバ アナエロビックナチュラル)をリリースしましたね。

 

 

キョウスケ

そうだね。うちにはいろんなお客さんが来てくれている。スペシャルティコーヒーが好きな人だけではなくて、単純に「あそこコーヒー美味しい」という理由で通ってくれる常連さんが多いんだよね。だからこそ深煎りコーヒーもめちゃくちゃ人気。

 

ルダイ

そうですね。

 

キョウスケ

何年間もリロで深煎りを楽しんでくれている常連さんや深煎りが好きな初来店のお客さんに「おっ」と思ってもらうフルーティさを楽しめる深煎りを作りたかったんよね。元々は深煎りしか飲んでいなかったのに、ルワンダを飲んだことをきっかけにコーヒーの新しい美味しさを知って他の豆にもチャレンジしてくれるお客さんも多くて、チャレンジしてすごくよかったなと思う。

 

ルダイ

なるほど〜。あれは本当に美味しいですよね。

 

キョウスケ

他には、ヨシくんが夏に向けてドリンクを作ることを考案してくれて、「コールドブリュートニック」が完成したね。

 

 

ルダイ

これも大人気ですね。エルサルバドルの豆を使った水出しコーヒーの甘酸っぱさがトニック、オレンジ、アプリコットと相まって夏にぴったりです。コーヒーが苦手な方にとっても、一歩目としていいドリンクだと思います。

 

キョウスケ

水出しコーヒーは家で簡単にできるから、このドリンクも気軽に作れるということが重要なんよね。レシピを隠す必要はなくて、みんなに作って楽しんでほしい。

 

ルダイ

なるほど〜。

 

キョウスケ

この美味しいドリンク。みんなできんねんで!」ってね。それでみんながコーヒーを好きになってくれたらいいし、リロ以外でコーヒー豆を買ってくれてもいいし、でも帰ってこいよとか思う(笑)

 

ルダイ

そうですね(笑)これからの一年でたくさんの経験を積み、正真正銘リロコーヒーのヘッドバリスタ キョウスケさんに成長して行くのが楽しみですね。これからもよろしくお願いします!



 

 

(インタビューは以上です。ここまでお読みくださった皆さま、ありがとうございました!)

 

 

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