第3回
知らないことを知る / ワクワク
ケイタ
僕たち自身、「楽しい」「好き」アンテナの強度を保つ、つまりワクワクし続けるために大事にしなきゃいけないことがあると思ってて。
ルダイ
はい。
ケイタ
これからの座右の銘にすると決めたほど心に刺さった言葉があるねん。
“知らざるを知らずと為す、是知るなり。”
〜孔子 論語より〜
ルダイ
ババーン。おお〜。
ケイタ
「知らないことを知らないんだと認識することで、理解がはじまる」という意味やね。
僕がサウナを好きになった時に、好きになったけど全然サウナのこと知らんなぁと思った。一回自分がまっさらやと認めたら、そこからいろんな情報がスンスン吸収できるようになったんよね。
逆に、何かについて知ってると思った途端、そこで止まっちゃう。自分らしさ、オリジナリティを出そうと意固地になると周りの声が聞こえなくなってしまう状態と似てるかな。
ルダイ
たしかに。知らないことに気づく力=吸収力で、知ってると思うことは新しい情報に耳を塞ぐことなんですね。
ケイタ
どうやったらこの意識を持てるか’というと、まずこの言葉を知ってることが大事やねんな。考え方を自分の中で0から生み出すのは難しいから。
ルダイ
たしかに、たくさんの先人が頭を使って磨き上げてくれた言葉を知って、今の行動に活かせばいいんですね。
ケイタ
うんうん。歴史を知ると今をアップデートできるから面白い。環境が変わっても人は根本的に変わらないから、人がどういう失敗をしてどういう考えを持つとどうなるのか、歴史からたくさん学んで今に活かせる。
ルダイ
最近ケイタさんが歴史に没頭して学んでいると聞きました。誰よりも働きながら…本当に、いつもケイタさんのアグレッシブで貪欲な姿勢に尻を叩かれています。
ケイタ
孔子のこの言葉は、謙虚になるための戒めでもあるし、常にワクワクが目の前にあるというポジティブな意味でも捉えられる。
ルダイ
なるほど。
ケイタ
僕はリロコーヒーで一番歴が長いけど、そのことがプラスの作用だけをもたらしてくれるように意識したいなと思っていて。行動次第で、長く在籍していることが組織にとってデメリットになることは多々あるから。長くなればなるほど、本人が悪い点に気づかなくなるし、周りからも言われなくなる。働きやすく、甘えやすい環境になっていくんよね。だから、長くなればなるほど自分に厳しくありたい。そういう意味においても、さっきの座右の銘がしっくりくる。
ルダイ
立場が上に行くほど、自分に鞭を打つ必要があるんですね。
ケイタ
そやねん。8年も働いてるからチヤホヤされる。ありがとうございますと受けつつも、いやいや僕はそんな喜んでいる場合ではありません、と常に思っておきたいな。
ルダイ
なるほど。
ケイタ
知らんことだらけということを知れたらワクワクしか周りにないから、それだけで人生おもろいなって思う。僕が「サウナを好き、でも知らない」と気づいた瞬間から世界が変わって見えたように、コーヒーで毎日が楽しくなる人を僕たちが増やしたい。
ルダイ
ただ、何かを知らない状態を、不安だったり苦痛に感じる人も多いと思います。
昨年末、最後にリロコーヒーのスタッフが集まった時、堀田さんから「理解した!とわかったつもりになるのは偏見を生む。わからない!と切り離す行為は分断を生む。だから対話をしていこう」というお話がありました。つまり知らない状態は不安に繋がりやすくて、わからない!と投げ出すか全部知ったつもりになる方が楽なんですよね。
ケイタ
うんうん。
ルダイ
「知らない」から「知りたい、知ったら面白い」に変えるお手伝いをできる可能性が、リロコーヒーにはあるのかなと思いました。スペシャルティコーヒーに出会って「コーヒー難しい、わからん!」と、一回ウッとなった状態は、実はワクワクのすぐ近くにいるのかもしれなくて。そういった状態の人たちを楽しい状態に引っ張り上げることは、「変化」や「未知」を全力で楽しんでいる僕たちにこそ取り組む意味があると思いました。
ケイタ
それがアンテナを立てるっていうことなんかもね。
熱風を操ることが出来る熱波師
熱波を操ることが出来る焙煎士
として、これからも頑張ります。
(インタビューは以上です。ここまでお読みくださった皆さま、ありがとうございました!)