第1回
転機 / チームプレー
ルダイ
今日はよろしくお願いします。前回のインタビューから一年が経ちましたね。
タクミ
経ちましたね〜。
ルダイ
去年の今頃は、タクミくんの勤務店舗がLiLo Coffee Roastersからリロ珈琲喫茶に移動した頃でした。最近、またプライベートで大きな変化があったみたいですね。
タクミ
そうなんです、結婚することになりました。
ルダイ
おめでとうございます!結婚…。今はどんな心境ですか?
タクミ
そうやね、人生の枠組みが大きく変わって、仕事への意識も変わったかな。今までは、自分がやりたいことを第一にはたらいてきた。やりがいのある仕事をしたい気持ち自体はこれからも変わらないんだけど、もっともっと価値を生み出さないといけないと思うようになった。
ルダイ
タクミくんはレストランの調理師を経て、ニュージーランドでスペシャルティコーヒーに出会い、リロコーヒーでがむしゃらに頑張ってきました。これからは自分のワクワクを追い求めるだけでなく、多くの人に価値を提供できるはたらきをしようということですね。
タクミ
うん。仕事を楽しみながら、もっと人の役に立つ、もっと成果を出す人間になりたい。
ルダイ
なるほど。もちろん今までもそうしてきたと思いますが、さらに燃えてますね。
話は変わりますが、タクミくんはLiLo Coffee Roastersで約1年、リロ珈琲喫茶でも約1年勤務しています。
タクミ
うん。
ルダイ
同じリロコーヒーでも、この2店舗はお客様の楽しみ方が違いますよね。
お客さまの楽しみ方が変われば、バリスタの頭のスイッチも切り替えが必要だと思います。お店の広さ、スタッフの数、メニュー構成、接客スタイル…。喫茶ではたらき始めて、やはり意識は変化していますか?
タクミ
違うね〜。喫茶は常にバリスタ2人以上で営業していて、常にチームプレーが必須。どうしたら相方は働きやすくなるやろうかといつも考えながら働いてるかな。
ルダイ
「フロア担当」「抽出担当」という単純な分担だけではないんですね。
タクミ
そうなんよ。お客さまが心地いい空間を作るように意識しながら、相方が次に何をするかをお互いに予想し合って、阿吽の呼吸を探る。ここはLiLo Coffee Roastersに一人で立つ時と大きく違う。
僕だけの考えで注文やサービスのタイムラインを組み立てていくとどこかで必ずぶつかってしまうから。
ルダイ
なるほど。
タクミ
一杯のコーヒーをどれだけ美味しく淹れられるかを考えるだけでなく、喫茶の雰囲気をいかにみんなで良くしていくかが大事なんよね。
ルダイ
お客さまに熱く語るときはその時間を確保するためにもう一人が気を利かせたり、相方が何をしたいのか常にアンテナを張っているんですね。聞けば聞くほどレベルの高さを感じます。
喫茶ならではのチームプレーに、最初は難しさを感じましたか?
タクミ
うん、難しい!
大縄跳びをしてるみたいに、足を引っ掛けへんようにリズムを守るのが難しい。
一回リズムを崩してしまったら、その後しばらくコンビネーションがずれたりね。
ルダイ
しかも必死な様子があまりお客様に伝わってはいけないですしね…。いつもスマートな喫茶の皆さんですが、こういった裏側の苦労を聞くとまた感じるものがあります。
(第2回「意識の変化 / 技術」へつづきます)