一緒に働いている流大くんが、いつも持っているペンケース。
仕事をする机の上によく置いてあって、いつも何気なく見ていたけれども、よくみるとかなり年季が入っている。
おそらくそのペンケースを使い始めた頃は、白かったであろう生地はクリーム色に近づき、所々にもうすぐポッカリと穴が空いてしまいそうな傷もいくつかあります。
「このペンケースいつから使っているんだろう?」
かなり昔から使っているぽいけれども、今も大切にこのペンケースを使っているという事は、誰かからもらった大切な物とか、思い出がたくさん詰まった物なのかなと思っていました。
ある日、私は流大くんに
「前から気になっていたけれども、そのペンケース、いつから使っているんですか?」
と聞いてみました。
「えー、、いつからだろう?小学生くらい?」
そう答える流大くんに
「そんなに前の物をずっと使っているって事は誰かにもらった物った大切な物って事?」
と私が聞いてみると
「いや、そういうわけでもなくて、、なんでだろう?でも何か僕っぽいでしょ?」
と目を細めて笑ってくれました。
確かに、一つの物を大事に使う所、すごく流大くんらしい。
ペンケースだけではなく、ハンカチも一体いつから?と聞きたくなるくらい可愛い物を持っています。
いつまでも少年らしい可愛らしさは忘れずに、でもいつの間にか男らしくもなって、今ではみんなの縁の下の力もちとして働いている流大くん。
洋服やバッグを新しい物で揃えたりすると、何だか気分が一新して、新しい自分に出会えた気になる。
「変化」していく事は、新しい自分をどんどん作っていく事だと思っていました。
でも、流大くんの一つの物を大切にずっと使い続ける精神は、流大くんの根本にある良さを軸として、今どの部分を磨いていくべきなのか?
「変化」していく事は、どんどん上から色を足して変わっていく事だけではなくて、自分の今持っている色を磨いて変わっていく事でもある。
流大くんの「物を大切にする気持ち」はそんな事を教えてくれた気がしました。
私自身ももっと今の自分を磨いたら、今よりももっとピカピカな私が埋まっているかもしれない。
(書いている人:遠藤有希)