古の王墓の隠されし真実

僕が小学生になったばかりの頃。大阪旅行に向かう飛行機の窓から、不思議な森を見つけた。深い緑色の樹木が、大きな鍵穴の形でびっしり生えていて、その周りはぐるっと一周水に囲まれている。まるで、テレビで見たナスカの地上絵みたいだ。

両親に「あれは何?」と聞くと「昔の王さまのお墓だよ」と教えてくれた。日本に王の墓があるの!?きっと宝物が隠されているに違いない!子どもの僕はインディジョーンズになった気分で、冒険心がむくむくと湧き上がってきたのを今でも覚えている。それが古墳との初めての出会いだった。



仁徳天皇陵古墳(上空南西から):堺市提供

 

迷宮入りの世界遺産、黒幕は…

あれから十数年がたち、「大阪初の世界遺産」というニュース記事をみて驚いた。あの時の古墳だ!2019年に世界遺産となった百舌鳥・古市古墳群は、堺市・羽曳野市・藤井寺市にまたがる巨大古墳群だ。百舌鳥古墳群の1つである仁徳天皇陵は、エジプトのクフ王のピラミッド、中国の秦の始皇帝と並んで世界3大墳墓の一つ。甲子園球場が12個もすっぽり収まる広さらしい。やっぱりあれはすごい遺跡だったんだ!

ネットで検索していると、気になる記事が目に留まった。仁徳天皇陵に被葬されているのは、本当は仁徳天皇ではないと主張する歴史学者が何人もいるらしい。しかし調べてみても、それ以上詳しい情報が出てこない。

ん?これまでにたったの2回しか発掘調査が行われていない!?教科書に載り、世界遺産にまで登録されているのにどうして…?

 

 

仁徳天皇陵の真実がベールに包まれている、その原因は宮内庁だった。明治時代以降、天皇の陵墓は宮内庁が管理していて、立ち入りや調査を禁じている。

これは、何か重要な秘密を隠しているとしか思えない!あの時飛行機の中で感じた、謎解きのようなワクワクを思い出してきた。

 

わからないからこそ面白い!

ネットで調べていても埒が開かないので、現地に行ってみることに。仁徳天皇陵のある大山公園は、園内のありとあらゆる古墳が柵で覆われていて、濠(ほり)を挟んで遠くから眺めることしかできない。ここから実物を見ても、正直ただの山にしか見えない。これで世界3大墳墓と言われても、いまいちピンとこないなぁ。

 

古墳見学を終え、堺市博物館で埴輪を見学していると、地元のボランティアガイドさんが話しかけてくれた。

「お兄ちゃん、知ってます?仁徳天皇陵をつくるために、1日に6000人くらいが働いたとされています。なのに、その人たちの住居の跡が古墳の周りに一つも見つかってないんですよ。不思議じゃないですか?!私は地下に大帝国があったんやと思うねんな…」おばちゃん、学芸員じゃないからって好き勝手な持論を言うなあと苦笑したけれど、古墳の地下にアリの巣のような帝国が築かれている様子はちょっとワクワクする。

博物館から市役所に向かうタクシーで、運転手さんにも古墳の話を聞いてみた。「運転手さん、この辺りの古墳って謎だらけなんですねぇ、いまいち分かりませんでした。」「ですよねぇ。江戸時代までは古墳は行楽地で、よく花見や宴会をしてたらしいんですけどねぇ。GHQが占領した時代に掘り起こされて、重要な出土品がアメリカに持っていかれたっていう噂もあるんです」また新しい説が出てきた…

 

結局真実は分からなかったけれど、なんだか面白い話がたくさん聞けた。謎がいつまでも謎のままだからこそ、歴史ミステリーのようなロマンがあるんだな。ピラミッドや始皇帝陵のように、現地でその大きさや凄さを体感することはできない。でも、それらにはない、謎解き冒険のような楽しみができるのが古墳の魅力だ。1600年の歴史ミステリーに思いを馳せつつ飲んだコーヒーは、心なしかいつもより味わい深かった。



   

 


 

 大阪ブレンド(古墳)ができるまで

 ■ 謎、謎、謎。分からないから面白い世界遺産

 

うっそうと茂る樹木に覆われた、鍵穴型の特徴的なシルエット。住宅街に囲まれて存在感を放っているのが、百舌鳥・古市古墳群だ。古代日本の王たちのために築造された全長200mを軽く超える前方後円墳たちが、無数の中小墳墓と密集して群を形成している。

「仁徳天皇陵に眠っているのは、本当は誰?」「どうして前方後円墳の形になったの?」現代の研究でも解明されていない謎が多いからこそ、1600年の歴史を持つ王の墓は、歴史アドベンチャーのように好奇心と想像力を掻き立ててくれる。





 

■「古墳」から、冒険心が沸き立つブレンドコーヒーをつくる

 

ここからは焙煎士 中村圭太の腕の見せ所!謎多き古墳群をもとに、ブレンドの味わいを構築していく。

 

  • 堺市・藤井寺市・羽曳野市には、巨大な前方後円墳が多数密集している
  • 宮内庁が調査を禁止しているため、今でも謎が尽きない



  

表面を覆う草木の下に悠久の歴史が静かに隠れている、古墳をイメージしたミステリアスなブレンドに仕上がった。

口の中にクラシカルなコクと香りが広がり、飲み進めるにつれて、何かの味がするんだけど何なのかわからない、不思議なフレーバーが見え隠れ!


 

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