雨が持つイメージって面白くて、人によって全然違う様に見えて共通点があったり、かと思えば完全に相反していたりするのが僕の印象。雨の音のイメージは、軽快で明るくポップだったりする。でも、雨に抱く色のイメージは、青や紫で、コーヒーの味わいで表現すると比較的落ち着いた印象なんです。この音と色で真逆とも言える味わいを一つのブレンドで表現することが、今回の僕のミッションでした。
今年のテーマは「五感で味わう季節の珈琲」なので、音を引き立てる為の色がある。まずこのブレンドで飛び込んでくるのは水彩カードの色による目からの印象で、その落ち着いた紫のイメージを踏襲しつつも、相反する躍動感やポップな味わいに仕上げました。想像よりも遥かに暗く、同時に明るいコーヒーです。
味わいのギャップを探す楽しさと、なるほどねと納得出来る安心感。1杯のコーヒーを楽しむ時間が人によって違うように、その1杯で楽しめる味の幅もまた人それぞれ。たっぷりとその幅に余裕を持たせたつくりになっています。スペシャルティコーヒーブレンドならではの複雑な味わい。きっと飲む人によって感じる味も全く違うし、好き嫌いも違うんじゃないかな。ただ、どんなプロセスであれ、最後は納得出来ちゃうような、そんな一杯です。
6月もシーズナルブレンドを楽しんでください。
【2024/11/18】COLOMBIA El Paraiso Tropical Double Anaerobic Washed
今回のトロピカルで特筆すべきポイントは、口あたり。
粘性が高く、ずっと口の中で甘さがまとわりついてくる様な感覚を体感できる。決して派手過ぎないのに、インパクトは絶大で記憶に刷り込まれるコーヒー。エルパライソのコーヒーにはいつもそんな印象を受ける。素晴らしいコーヒーです。
【2024/11/04】【November Limited】YOUBU Blend ~葉舞~
近頃は秋が短いですよね!個人的にも秋が大好きなので、数日の間に夏から冬に変わってしまうような季節のジェットコースターは、ちょっぴり悲しいです。せめてコーヒーでは秋の風情を感じてもらえれば!という意気込みで、11月の葉舞ブレンドをつくりました。
【2024/10/28】BOLIVIA Maritza Mamani Peaberry Washed
このマリッツァ ママニのピーベリーに出会った時は、その透明感と質感に衝撃を受けたんですよね。
ピーベリーでこんなのに出会ってのは初めて。粘性のある質感と、それでいて透き通るような透明感がとっても心地良い甘さを連れてくる。毎日飲みたくなるコーヒー。こういう味わいが表れるコーヒーは、携わる人たちの仕事が丁寧で繊細であるからこそ。
【2024/10/21】ETHIOPIA Niguse Gemeda Morke Natural
アンダースクリーンギリギリのサイズの豆で小さくてカワイイんだけれど、見た目に反して味わいはとってもパワフル。ジューシーなベリー系主体のフレーバーは、口に広がるどころか、全身にその赤みを帯びた心地良い酸が広がる感覚。クセがなく、スッと飲み心地の良いグランクリュのワインを想像させるような飲み口。非常に丁寧な仕事を感じられる豆です。
【2024/10/14】COLOMBIA Finca Villa Maria Lemon Candy Natural
この豆は、ゲイシャという最高級品種に共発酵のプロセスを施しています。共発酵の可能性は底知れず、まだ未知な部分もたくさんあります。
共発酵によって新しい味わいを生み出せますが、管理が非常に難しく、下手をすれば生豆が使いものにならなくなってしまうリスクも孕んでいます。そこにチャレンジしつつ、良いコーヒーを届けたいというビジャマリアの方々の気持ちがとっても感じられる、素晴らしい豆です。
【2024/10/07】COLOMBIA Finca San Jose Monsalve Botero Rum Barrel Washed
この豆も、フレーバーを強調しようとし過ぎると逆にフレーバーが出ないし、甘さも乗っかってこない。その絶妙なバランスを何度も検証しながらアジャストさせている。派手な印象の豆であればある程、裏ではじっくりしっかりと調整を重ねてリリースしている豆の典型的な例でもある。ぜひ、スペシャルティーコーヒーの未知なる体験を味わってもらいたい。