雨が持つイメージって面白くて、人によって全然違う様に見えて共通点があったり、かと思えば完全に相反していたりするのが僕の印象。雨の音のイメージは、軽快で明るくポップだったりする。でも、雨に抱く色のイメージは、青や紫で、コーヒーの味わいで表現すると比較的落ち着いた印象なんです。この音と色で真逆とも言える味わいを一つのブレンドで表現することが、今回の僕のミッションでした。
今年のテーマは「五感で味わう季節の珈琲」なので、音を引き立てる為の色がある。まずこのブレンドで飛び込んでくるのは水彩カードの色による目からの印象で、その落ち着いた紫のイメージを踏襲しつつも、相反する躍動感やポップな味わいに仕上げました。想像よりも遥かに暗く、同時に明るいコーヒーです。
味わいのギャップを探す楽しさと、なるほどねと納得出来る安心感。1杯のコーヒーを楽しむ時間が人によって違うように、その1杯で楽しめる味の幅もまた人それぞれ。たっぷりとその幅に余裕を持たせたつくりになっています。スペシャルティコーヒーブレンドならではの複雑な味わい。きっと飲む人によって感じる味も全く違うし、好き嫌いも違うんじゃないかな。ただ、どんなプロセスであれ、最後は納得出来ちゃうような、そんな一杯です。
6月もシーズナルブレンドを楽しんでください。
【2024/10/14】COLOMBIA Finca Villa Maria Lemon Candy Natural
この豆は、ゲイシャという最高級品種に共発酵のプロセスを施しています。共発酵の可能性は底知れず、まだ未知な部分もたくさんあります。
共発酵によって新しい味わいを生み出せますが、管理が非常に難しく、下手をすれば生豆が使いものにならなくなってしまうリスクも孕んでいます。そこにチャレンジしつつ、良いコーヒーを届けたいというビジャマリアの方々の気持ちがとっても感じられる、素晴らしい豆です。
【2024/10/07】COLOMBIA Finca San Jose Monsalve Botero Rum Barrel Washed
この豆も、フレーバーを強調しようとし過ぎると逆にフレーバーが出ないし、甘さも乗っかってこない。その絶妙なバランスを何度も検証しながらアジャストさせている。派手な印象の豆であればある程、裏ではじっくりしっかりと調整を重ねてリリースしている豆の典型的な例でもある。ぜひ、スペシャルティーコーヒーの未知なる体験を味わってもらいたい。
【2024/09/30】【October Limited】KOMEI Blend ~鼓鳴~
ブレンドの素敵で面白いところのひとつは、味わいの表裏一体を演出できる点だと考えている。一見、決して同居しない様に見える味わいを、複数の豆を組み合わせることによってひとつにすることが出来る。
こんな表現ができるから、やっぱりめちゃくちゃスペシャルティーコーヒーって楽しいし、無限に広がる可能性を改めて感じます。素晴らしい出来です。
【2024/09/23】COLOMBIA Carolina Mejia Orange Soda Mandarin Washed
飲んだ瞬間弾けるオレンジ感が楽しいコーヒー。
このコーヒーはコロンビアのクララという農園の豆ですが、こちらは非常にコーヒーに対して真摯で丁寧な仕事をされていると感じます。日本では、クララのコーヒーを取り扱っている所はまだ少ないですが、非常に面白い豆が多く、もっと広まっていくことを願っています。人との繋がりがあるからこそ、コーヒーの輪が広がっていく。そのことを実感出来るコーヒーでもあります。
【2024/09/09】COLOMBIA Jardines del Eden Anaerobic Honey Infused Wine yeast & Pasion Fruit
年連続の継続購入となっているデルエデンのパッションフルーツハニー。
今年も登場です。今年のクロップはパッションフルーツ感はもちろんのこと、ロゼワインの印象が強く、ちょっと大人のイメージのコーヒーに。
発酵時間と環境温度が少し変わるだけで大きく味わいが変化する豆。逆に毎年ここまでのフレーバーを安定して出し続けられるのもまた素晴らしいなと感じています。
【2024/09/02】【September Limited】BANZEN Blend ~晩蝉~
夏から秋へ、季節が変わっていく様をわかりやすく味わいで表現する。ということが、今回の味づくりの土台の部分。土台が出来たあとは、それらを具体的に表現する為の答え合わせをひたすら繰り返していきました。