大阪人の生活文化に馴染み、日常の一コマを彩る存在だった喫茶店の空間。50年以上の時を経て成熟した現在の店内からは、単純なノスタルジーではなく、むしろSFの世界のようなふしぎな魅力とワクワク感がみなぎっている。それは、リロコーヒーという組織が、
だからだ。
この5年間、バリスタたちは喫茶店をリロなりに再構築し、店長のヒロナを先頭にチャレンジを続けてきた。
喫茶店とは何だろう?どこに価値があるのだろう?
どうすれば、お客さまがもっとワクワクできるだろう?
一人で落ち着いて読書をする。
次の予定まで30分あるので少し暇をつぶす。
ショッピングに疲れたので一息休む。
1ヶ月ぶりに会う友人と積もる話に花を咲かす。
喫茶店には、それぞれの理由で
「時間を過ごしたい人」が集まってくる。
その中であくまでコーヒーは「脇役」だ。
美味しいコーヒーを追求すればするほど情報は細かく、敷居は高くなっていく。悲しいかなスペシャルティコーヒーは、「美味しいかも」と感じるよりずっと前に「難しい」「面倒くさそう」と思われてしまいやすい。
だからこそ、リロ珈琲喫茶のみんなは、「楽しさ」をプラスすることにもっとも時間と脳みそを費やす。
作家の井上ひさしさんが創作において大事にしているという言葉が、リロ珈琲喫茶の姿勢とよく重なる。
コーヒーをとことん深めながら、わかりやすく、たのしく。
この欲張りなミッションを担うバリスタたちは、
ヒィヒィ言いながらとても楽しそうだ。
六年目のリロ珈琲喫茶はどんな愉しさを創ってくれるだろう。
同じ会社の仲間として、いち喫茶ファンとして
心から楽しみにしている。
ルダイの主観的スタッフ紹介
ヒロナ。
5年前のオープン時から喫茶を任されている店長は、コーヒー豆に人格を吹き込み、物語を与える。「コーヒー豆の保管に適した環境、知ってる?風通しが良くて涼しい場所。人間やん!」「豆を美味しくエイジングさせる時の適正温度、検証したら40℃のお湯だった。人間も気持ちいい温度やん!」とコーヒーに人間味を見つけては嬉々としている。
彼女が、気高く華やかなゲシャ種のコーヒーを女性の姿と重ね創り出した裏メニュー「ゲシャのスープ」は、提供終了から4年が経った今でもファンの間で話題に上がるほどの名作だ。専門とするサイフォンで、世界中から喫茶に訪れるお客さまにコーヒーを提供しながら、誰にも真似できない世界観でスペシャルティコーヒー業界を盛り上げている。
https://www.instagram.com/ringogyuunyuu/
チナミ。
喫茶の空気をパッと一瞬で明るくしてしまうリロ珈琲喫茶の二番手。さりげなく気が回るサービスのプロフェッショナルでありながら、コーヒーへのマニアックな探究心を持ったクラフトパーソンの一面も。
とりわけ自身がコーヒーにのめり込んだルーツでもあるエスプレッソへの情熱を燃やしている。毎朝わずかな誤差を調整しながら、喫茶のエスプレッソの質は彼女が担保している。カウンターにチナミが立つ日は、抽出見学をしながらコーヒーの疑問をどんどん聞いてみてほしい。きっとなんでも答えてくれるはず。
https://www.instagram.com/chinami021671/
具。
喫茶の仲間になってまだ数ヶ月、柔らかな物腰で一見控えめな性格ながら、堪能な中国語を駆使して海外からのゲストに喫茶の魅力を120%伝えている。
ヒロナがコーヒーに人間を見出すなら、具はコーヒーから音楽を感じ表現する。自身が偏愛するコーヒーと音楽に共通点を見つけ、ペアリングする試みを独自に行なっている。これからますます技術とサービス、個性に磨きがかかり、リロ珈琲喫茶に新鮮な風を吹き込んでくれるはずだ。たのしみたのしみ。
https://www.instagram.com/boncheol/
7月から、新人スタッフのエレンくんも新加入。
元々は喫茶にずっと通っていた常連のお客さまで、これからどんな色を出してくれるのか楽しみだ。